修復の技法について

お面の修復

このような修復が可能です

  • 割れ・欠け・欠損
    割れを修復し、元の状態に戻します。また部分的な欠けは、刻苧(こくそ)を付けて乾燥し固くしたあとで、元の形になるように削ります。
    大きな欠損は、お面と同じ材料を使用して接着したのち、左右で同じ形になるように削っていきます。
    お面の割れ・欠け・欠損
  • 塗り直し
    和紙で補強したのち、下地塗り、下地研ぎ、上塗りを経て、顔を描いていきます。
    塗り直し

修復の手順

01古い塗料を剥がす
お面に塗られている塗装を剥がします。塗装の種類に合わせた薬品に漬けて、溶かして落とします。彩色の場合は、お湯で洗い落とすと木が狂う可能性があるため削り落とします。
02割れ・欠けを修復
お面の割れの修復方法は、傷み方により2種類あります。軽度の割れの場合は、割れに沿って丸刀などで削り、樹脂を流し込んで割れを止めます。
あまりにも深くて長い割れの場合は、一度割ってしまいます。そして割れた箇所の両面に穴を開け、そこに竹串を刺して両面を接着します。
03刻苧(こくそ)・刻苧削り
丸刀で削った凹みや、接着した跡、段差や隙間があった場合には、刻苧を使って埋めて固めます。その後、固めた刻苧を、元の形になるように彫刻刀で削っていきます。 お面の刻苧(こくそ)・刻苧削り
04和紙貼り
お面全体に和紙を貼って補強していきます。 お面の和紙貼り
05土砂引き(どうさ引き)
和紙に膠(にかわ)とミョウバンを混ぜた液体を塗り、下地塗りをするときに下地が乗りやすいようにします。
06下地を塗る
胡粉(ごふん)と膠を混ぜた下地を4回~6回塗り重ねていきます。
07下地研ぎ
お面の彫刻の彫りを活かすように、下地を研ぎ出していきます。
08中塗り
胡粉と膠を混ぜた下地を、薄くていねいに2~3回塗っていきます。
09上塗り
胡粉に膠と水干(すいひ)絵具、または膠と水干絵具を混ぜた上塗り用の膠を、ていねいに3~4回塗り重ねます。
10上塗り研ぎ
上塗りの刷毛跡を撫でるように研ぎ出していきます。
11彩色(※彩色仕上げの場合、工程が変わります)
中塗り後、膠と水干絵具で作った彩色液をタンポンに含み、叩くようにお面に色付けしていきます。
12仕上げ
目や眉、髭や髪などを墨で描いていきます。 お面の仕上げ
13磨き
息を吹きかけながら磨いていきます。
14毛植え
髪の毛や眉毛、髭を細く束ねた人毛や馬の毛を使用し植えていきます。
二本松市の漆を使った文化財修復

漆を使った修復

このような修復が可能です

  • 剥離・つぶれ
    割れを修復し、元の状態に戻します。また部分的な欠けは、刻苧(こくそ)を付けて乾燥し固くしたあとで、元の形になるように削ります。
    大きな欠損は、お面と同じ材料を使用して接着したのち、左右で同じ形になるように削っていきます。
    漆の剥離・つぶれ
  • 塗り直し
    下地 → 下地研ぎ → 下塗り → 下塗り研ぎ → 中塗り → 中塗り研ぎ → 上塗り → 上塗り研ぎ → 箔押し → 朱漆中塗り → 朱漆上塗り → 顔描きをして、新品と同じように仕上げます。
    漆での塗り直し

修復の手順

01幕・籠の取り外し
幕を取り外します。また彼岸獅子の中には頭に被るための竹籠があるので、その籠を取り外します。
02古い塗料を剥がす
お面に塗られている塗装を剥がします。塗装の種類に合わせた薬品に漬けて、溶かして落とします。獅子頭の場合もお湯で洗い落とすと木が狂う可能性かあるため、古い塗装をできる限り削り落とします。
03割れの修復
獅子頭の割れの修復は、傷み方により2種類あります。
軽度の割れの場合は、割れに沿って丸等で削り、樹脂を流し込んで割れを止めます。
あまりにも深くて長い割れの場合は、一度割ってしまいます。そして割れた箇所の両面に穴を開け、そこに竹串を刺して両面を接着します。
04欠損の修復
小さい欠損は、刻苧で形を作ったあとで刻苧を硬化させ、彫刻刀で削りながら形を整えていきます。
大きな欠損は、獅子頭と同じ材料を使用し、接着面に竹串を刺して接着後、木を削り出して形を彫刻していきます
05和紙貼り、または麻布貼り
割れや欠損を修復した箇所に、和紙や寒冷紗(かんれいしゃ)を貼って補強します。
06下地付け
獅子頭全体に下地を塗っていきます。彫刻された箇所が下地で埋まらないように気を付けながら塗り重ねていきます
07下地研ぎ
下塗りしやすいように、下地をていねいに研いでいきます。特に目や眉間の皺などの彫刻の部分は、獅子頭が力強い表情になるように意識して研いでいきます。
08下塗り
下地研ぎが終わり、きれいに水拭きしたあと、下塗り用の黒漆を塗っていきます。
09下塗り研ぎ
この状態ではまだ研ぎ傷や凹凸が残っています。この研ぎ跡と凹凸を減らすように、ていねいに研いでいきます。
10中塗り
下塗りより少し厚めに、中塗り用の黒漆を塗っていきます。
11中塗り研ぎ
まだうっすらと研ぎ跡が残っているので、研ぎ跡が完全になくなるように研いでいきます。
※まだ細かい凹凸や深い研ぎ跡が残っている場合は、もう一度、中塗りと中塗り研ぎを繰り返します。
12箔下漆
金箔仕上げになる箇所に黒箔下漆を塗ります。 漆の箔下漆
13箔置き
金箔を置いていきます。 漆の箔置き
14朱漆中塗り
透け防止のため朱漆を一度塗ります。
15朱漆上塗り
最後に朱漆を塗り上げます。 漆の朱漆上塗り
16仕上げ
朱漆の上塗りがしっかり乾燥したあと、目や目の隈取(くまどり)、髭などを描いていきます。 漆の仕上げ
17毛植え、羽植え
獅子頭によっては白毛や麻、鳥の羽等が植えられているので、修復以前のように毛や羽を植えていきます。
18籠・幕取り付け
最初に取り外した竹籠、幕を取り付けて、完成です。
お面や獅子頭などの文化財のお手入れの方法

長く美しく使うために普段のお手入れの方法

お面のお手入れ方法

・ほこりなどは柔らかい布を使って軽く払う程度で問題ありません
・彫刻の谷などに溜まってくる汚れやほこりなどは、経年によるお面の趣に変わります

お面の持ち方

耳の横にある紐を通す穴だけを、手でお持ちください。
お面をつけるときは、自身がお面を押さえて、誰かに後ろから結んでもらうように2人がかりでつけるように心掛けてください。

もしお面が濡れてしまったら

膠は水溶性で水に溶けやすい性質があります。濡れても決してこすったりしないでください。
陰干しで乾燥させたあと、上記のようにお手入れしてください。

お面の保管方法
保管する場所
高温多湿は避けてください。カビや虫食いの原因になります。
特に乾燥するところも避けてください。直射日光がお面に直接当たる保管の仕方などもお避けください。
保管する箱
段ボールなど紙素材の箱での保管はお控えください。箱が湿気を吸う原因になります。当工房は、湿度を調整する桐箱、もしくは湿気を取り込みにくい衣装ケースをお勧めしております。
保管のしかた
・お面を薄葉(うすば/うすよう)でお包みください。
・箱の隙間は、薄葉で包んだ脱脂綿などをクッション代わりに当ててください。
・蓋をする前に防虫剤※と乾燥材(シリカゲル)を入れてください。
※防虫剤は、一度使い始めたらその後も使い続けてください。防虫剤の種類を変えると染みの原因になることがあります。

獅子頭のお手入れ方法

使用後は金箔に触らないように、柔らかく乾いた布でやさしく拭き取ってください。指紋やお酒はカビの原因につながります。
取れにくい汚れは、固く絞った布で拭いたあと、乾いた布で拭き取ってください。

もし獅子頭が濡れてしまったら

幕を広げて屋内で陰干ししてください。
乾いたあとに、上記のようにお手入れしていただけると幸いです。

獅子頭の保管方法
保管する場所
高温多湿は避けてください。カビや虫食いの原因になります。
保管する箱
段ボールなど紙素材の箱での保管はお控えください。箱が湿気を吸う原因になります。当工房は、湿度を調整する桐箱、もしくは湿気を取り込みにくい衣装ケースをお勧めしております。
保管のしかた
・箱の隙間は、薄葉で包んだ脱脂綿などをクッション代わりに当ててください。
・蓋をする前に防虫剤※と乾燥材(シリカゲル)を入れてください。
※防虫剤は、一度使い始めたらその後も使い続けてください。防虫剤の種類を変えると染みの原因になることがあります。
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